《MUMEI》

.







唐突すぎる






何でこのタイミングなのか、サッパリ分からない…














教える…?






「…お…教えるって…何、を?」


「…なんで俺に、『好きだ』なんて言ったんだ?」






秀一の心臓も


俺と同じくらい速く動いてた





………














…そのこと、か













「…秀一さ…前世って、信じる?」

「前世?」


「うん」


秀一の髪が首に当たってくすぐったい。





俺もおずおずと秀一の背中に手を回した






「なんか…秀一を見てるとさ、そういうのも信じたくなるんだ」




マジ、でさ








「お前みたいな寂しそうな眼したやつに、今まで見たこと無かったから」









「俺が…寂しそう?」




秀一は俺の首に唇を触れさせた



「だっ……だから、俺は勝手に…秀一を守りたいって思ったんだ。」







隆之に訊かれたときに、こんなこと言ったって

笑われて終わりだったろうな










「そんなこと言われたの初めてだ」




「…ちょ…何…」

言葉と共に片手で器用に制服のボタンを外されて

俺は慌てた








「……今まで見破れたのも、佑二だけ…でも」




秀一は俺の制服と中に着てたのを脱がせると、

壁に取り付けられた手すりにそれを掛けた



…寒かったのかもしれないけど、


そうは感じなかった






「知ってるだろ?俺は…汚れてる」


秀一が体を離して、正面から俺を見据える




「それでも、好きって想ってくれんの?」







俺は瞳の見つめ方を忘れてしまって

眼だけを動かして秀一の両頬を片方ずつ見てから



ようやく秀一の瞳を捉えて








「…うん」




頷いた

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