《MUMEI》
再会
少年はそれから、女性と出会った道の端で日が落ちるまで待つことが日課
となった。 2日、5日、8日・・・しかし女性は現れる気配がありません。

もしかしたら・・・もう会えないのかもしれない・・・

少年の心が寂しさで折れそうになった10日目、黒い頭巾をかぶったしなやかな
女性が目の前に姿を現しました。


「坊や」

その声を聞いた少年は涙ぐみながら、思わず
「遅いよ!! ずっと、ずっと待っていたんだよ!!」
と勢いよく女性に抱きつきました。
「いつから待っていたのか?」

「ずっとだよ。 あれからずっと待ってたのに!!」

「悪かったなぁ。 許してな。 私はあれから病が思わしくなくて寝込んでおった。
すまなかったな。 でも今日は会えるかもしれぬと・・・ほら、僕の手拭いをもって
きておるぞ」

「いらないよ。 もういらない。 それよりお姉さん、やっぱり病気なの?」

「心配ない。 もう峠は越した。 ・・・僕の顔を見たらもっと元気になった」

「本当? じゃあこれから遊びに行こうよ。 いいでしょ?」

「遊びにって・・・何処へじゃ?」

「河原に行こう。 あそこなら僕と同じ位の子供しかいないから、お姉さんも
息苦しい頭巾なんか外して、自由に楽しめるよ」

「自由に・・・  良いなぁ。 行こうか」

「うん!」

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