《MUMEI》
別れ
陽が落ちようとする頃、2人は出会った道を歩いていました。


「はい、手拭い。 これを渡さねばな」

「いいよ、どうせ口実だもの」
手にしたそれから、女性と同じ香りが立ち昇ってきた。
「でも・・・せっかくだから受取る。  また会えるよね? 今度はいつ?」

「そうじゃな・・・今度は、僕が私を身請けに来る時としよう」

「え!? そんなの嫌だ!まだまだ先だもの! それまで待てないよ!!」

「身請けの話は偽りだったか?」

「偽りじゃないけど、僕が大人になるまでにはまだ、もう少し時間が・・・。
館に行きたいけど、子供じゃ門前払いされて近付くことも出来ないんだよ?」

「待っておるぞ。 来たらな、幸せなキスをして、僕を思い出させておくれ」

「僕もまたここで待ってる。 また来てくれるよね? 今はそれしか方法がない」

「私は、私の場所へ行かねばならぬ。 会いたくば、僕が来るのじゃ」

「分かった、行く。 でもここでも待ってる」

黒い頭巾で顔を覆う女性の表情は分からなかったが、笑みを浮かべている
ように少年は感じていました。

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