《MUMEI》 彼女の決意。夜が更ける。 リーベルも深夜となればヒトは少ない。 「作戦の準備は完了、後はトキが来れば。」 「ほぅ・・後はただ待てば良いのか、暴れるその時を・・」 「・・・どうでもいい・・ヒトを殺せるのだからな・・それで十分だ。」 「・・・了解。」 コツ、コツ。 ソコに新たに近づく人影。 「随分と遅かったですね、リース。」 緩やかに雲が流れ月が周囲を照らす。 「・・・・・」 無言で佇むリース。その手にはクロノ・レベリオンが携えられている。 「守護騎士の怪我の具合はどうです?」 「・・・・・・・・」 質問には答えず、静かに槍を構えるリース。 静寂のみが残る。 「どうしました、リース。」 「私は・・・お前達の計画に賛成できない。」 槍を構えたまま、言葉を発すリース。 「やれやれ・・貴女は何を言っているのですか。結界を破壊し、枢機卿及び守護騎士を殲滅する。その何処に賛成できないのですか?」 何処か呆れたような声。 「・・・殺した所で何も変わらない。それに・・」 「気がついてしまった訳ですか。・・いいでしょう、せいぜい屋敷に引き篭って震えてなさい。その間にこの街は破壊して差し上げますからね。」 なんでもない事のように口にされる台詞。 「この街へ軍隊が入れば戦争になる。」 「考え直す機会を差し上げます。このまま私どもの計画に参加し、コーリア教の英雄となるか、今すぐこの街を出て我関せずで通すか。お好きな方を選びなさい。」 威圧的な言葉。その言葉に合わせるように、コーンオブサイレントが起動、周囲の音が消滅する。 「・・・・私は」 「要はこいつは裏切り者って訳なんだろ?だったら殺すだけだな!!」 後ろに佇んでいた一人が前に出てくる。 「仕方ありませんね。こんな所で時間を使うわけにも行きませんし・・手早く殺ってください、ハルバー。」 「セイゼイ抵抗してみろや。」 リースに向かって2メートル程度の黒い大斧が振り回される。 「私は・・お前達の計画を成功させる訳にはいかない!結界を壊すことなんて・・絶対にさせない!!」 月の元、二つの影が踊る。 キィン キィン! 火花と澄んだ金属音、それ以外に音は無く・・ 次々と振るわれる大斧。 「く!」 避けるリースを追って、次々と地面を穿ち、街灯を破壊していく。 「反撃して来いよ!つまらねぇだろうがぁ!!」 怒声と共に振るわれた大斧。 槍で受け流し、カウンター気味に突くが・・ 「遅せぇ!!」 ギィィン・・ 受け流された斧をそのまま旋回させ、槍に叩きつけるように振る、それで簡単に突きは止められ、槍が弾き飛ばされる。 「ちッ!」 小さく舌打ちし、後退し間合いを取ろうとするリース。 「ハ!雑魚が!!」 ザシュ・・ 振るわれた大斧がリースの右肩から左のわき腹までを深々と鎧ごと断ち切る。 そのまま崩れ落ちるように倒れる。 カシャン・・ 静かな音を立ててクロノ・レベリオンが地面へと落ちる。 血がドクドクと流れ、地面に広がっていく。 「ご愁傷様〜怪我が完治してればもう少しは楽しめたってのに・・つまんねぇな。」 倒れたリースを見ながら大きく大斧を振りかぶり、首を目掛けて振り下ろす。 「ま、死んどけや。」 前へ |次へ |
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