《MUMEI》

そう言えば久々に本格的な外食したな…。
いつもは水輝が作ってくれる。


……………いや、別にあたしが作ってもいいんだけど、料理をしようとすると本気で止めに入ってくるから出来ないだけだ。

「お前の作ったもんは食いもんじゃねえ。毒物だ」とか言ってくる……










箸でつかんだ麺をボ―――ッと見つめながら考えこんでいた。











「何?もうお腹いっぱいなの?意外と少食?」

「!!…や、別に」







まだ半分程度残っているあたしのラーメンを見ながら問いかけてくる黒尾さん。


あたしは焦って、止まってた箸をまた動かす。







………………つか意外と、は余計だ









▼△








「ごちそうさま!」

「オッ、綺麗に食ってくれたんだな!」

「美味しかったです」

「そうかそうかァ!また来てくれな!」

「は…「池島く―んお勘定ぉ」







返事をしようとしたら刈真が自分の前に出てくるもんだから、言葉がさえぎられてしまった。


小さく舌打ちをする色










「あ―っと…2つで1400円」

「だってさ。1400円だして」

「おぇぇえッ!?」
「冗談だよ。ハイ、1400円」







ビ、ビビッた――…
冗談と本気の境目があやふやな人だから怖ェ―よ


……つか、代金全部支払ってくれたぞこの人。

てことは奢り?マジで??
イヤッフ―――――☆










「てかさ―、二人で1400円って高過ぎでしょ池島く―ん」

「ふざけんな、高くね――よ」








……………………。

いろんな店で文句言ってんのかよ!

やっぱケチなのか!?









「あ―…あと、はいコレ」

「!!………やっぱ本命はコレかよ。おかしいと思ったぜオメ-がただ食いにだけ俺んとこに来るなんてよォ」

「ハッハッハ 当たり前でしょ―。それじゃよろしく頼むよ池島くん」










小さな白い封筒、
意味ありげに小さく笑いながら池島に渡す。

嫌々ながらも手にとった池島は頭に巻いたタオルの上からボリボリと掻く


色は気になったが、自分と全然関係のないこと。
どうせ聞いたって教えてくれないだろうし、
「何で関係ない人間に教えなくちゃいけないの」とか言われるのがオチ。
ここは素知らぬ顔しておくのが打倒だ…。

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