《MUMEI》
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『…あるよ』
弟は頬の内側を舌で弄りながら言った
「じゃ…」
『うわ』
俺は弟の頭を引き寄せて、寄り掛からせた
『っ…やめろよ、気持ち悪リィ』
そうでもなさそうな怒った表情《カオ》で、弟は俺から離れようとする
「…成長したよな……」
すかさず俺は、弟---将隆が一番喜ぶ言葉をかけてやる
『………』
案の定、将隆は黙った
…簡単なやつ
『…久しぶりだな』
「ん?」
…何が、だ
『こうしてもらうの。……小学校んとき以来だ』
「………そうだな」
ああ、そうですか。
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