《MUMEI》
架空の天使
本名 『美香子』   HN 『舞』


決してもてないタイプではない。


写真を掲載すれば「かわいいね」「もてるでしょ?」なんて
お決まりのように返ってくる。  


リアルな恋愛経験としても、想いを寄せられることは多かった。


でもそれは、いつだって私の好みとは離れたタイプだ。
私が好きになる人にはいつも、既にパートナーが居る。



まだ若い頃には気持ちを抑えきれず「想いを伝えるだけ!」
と個人都合のケジメを目論んだこともあった。
けれど、予想外に相手の気持ちが自分へと傾いた瞬間に
罪を感じて、逃げ出してしまったのだ。


綺麗事ではなく、彼が選んだ彼女を、裏切る行為をさせたく
なかった。



不完全燃焼な片思い。


やり場のない想いは、私自身を想う人へと向けられていった。



(何だか嬉しそう・・・私のこと、好きなんだね。 私がOK出せば
この人は両想いになるんだね。 いいよ。 付き合おう・・・)



しかしどれも1年と満たない刹那的なものとなった。
気持ちの温度差は、最初から見えない溝で心を孤立させる。



そんな恋愛パターンから逃れるように、私はいつしか、仕事に
没頭するようになった。


それは空虚な心を覆い隠すような、寝る間もない程の過密
スケジュールだった。

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