《MUMEI》
双剣士
キィィン・・
「殺す必要は無い。」
振り下ろされた大斧を片手剣で受け止め、静かに声を出す剣士。
「邪魔するきかよ、デュアルブレイド。」
大斧を大きく振り、構え直す男。
「・・・・・この女にはまだ利用価値がある。」
片手剣を鞘に収め、リースの怪我の様子を調べる濃紺色の髪をした剣士。
「あ?ウザイ野郎だ。殺しちまうのが一番楽だろうが。」
「まぁまぁ、押さえてくださいハルバー。デュアルブレイドさん、貴方の好きなようにしてくださってけっこうですよ。もっとも、彼女には我々の計画を最後まで見届ける役をやっていただくこともできますし・・抵抗できぬようにだけすれば、それでいいでしょう。」
取り成すように間に入る、細身の優男。
「・・了解した。こいつは俺が処分する。」
「け・・つまんねぇな。まぁ朝になれば、マヌケな騎士を好きなだけ殺せるわけだし・・良しとしてやるよ。」
大斧を持つ男がスタスタと夜の街に消えていく。
「それでは、みなさん、今日は解散としましょう。くれぐれも失敗されぬように。」
優男が可笑しそうに嗤いながらその場に居る全員に声をかけ、闇に溶けるように消えていった。
残った者たちも次々と去っていく。

全員が去った場に残されたリースとデュアルブレイドと呼ばれていた剣士。
「・・・一つ選ばせてやる。今ココで死ぬのと、この街が滅ぶ時に死ぬ、どちらがいい?」
リースの傷の手当を簡単に済ませ、静かに問いかける。
「私は・・・死ぬわけには・・」
血を吐きながらも、言葉を口にするリース。瞳には強い意志の光が残っていたが言い終える前に意識を失った。
「・・奇跡でも祈るのだな。神など居ないとは思うが・・な。」
何処か悲しげに呟くと、リースを抱き上げ、そのまま噴水前を後にする。
夜が明ける。結界強化儀式の日が始まる。

「ふぁ〜ぁ・・ねむ・・」
昨夜遅くまで琴やボンカーとテレパスでやり取りをしていて寝不足気味な狩月が目を覚ます。
外では大きな歓声が上がり、様々な楽器の演奏が聞こえる。
「結界強化儀式かぁ〜見て回りたいけど・・」
窓を開け、通りを見渡す。
人々が楽しそうに並び、枢機卿を含む守護騎士団の行進を今か今かと待っている。
「こっから眺める位はいいよな。」
窓枠に寄りかかりながら空を見上げる。

「・・・始まったようだな。」
デュアルブレイドと呼ばれていた剣士が街を見下ろしながら呟く。
後ろには両腕に金属の杭を打ち込まれ磔にされたリースの姿。
「・・・どうして・・戦争を望む・・」
リースが声を出す。
斬られた傷は応急処置のお陰で血は止まっているが、杭を打たれた腕からは血が流れ、足元に置かれたクロノ・レベリオンを紅く染めていく。
「戦争を望む訳では無い。俺は・・フィリアス教が憎いだけだ。あいつを・・あんな体にしたフィリアス教が。」
自嘲気味に呟く剣士。
二人が居る場所からは教会を出発した一団が良く見えた。
「・・・話はこれで終わりだ。」

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