《MUMEI》 榎原と私榎原は、学校の生徒会長。 チャラくて、私は嫌い。 何でこんなヤツが生徒会長だなんて許せないっ!! 榎原が生徒会長になる理由は私にだって良く分かる。 榎原は人気がある。 女子にも、もちろん男子にも。 顔がカッコイイ、スポーツ万能、頭はいい、盛り上げ役。そして優しい。 何をとっても悪いとこなんてなくて、歌もうまいし、ピアノやギターも弾ける。 やりたいことはすぐ実行できるタイプ。 やっぱり榎原は何でも持ってる。 私と榎原は学級委員と生徒会長という事務的なつながり。 いつも話すのは仕事のことばかり。 そんな普通に話すこともない。 「長川、会計だして」 「はいはい」 「それ片付けて」 「分かった」 こんな感じ。 いつも榎原は面倒な仕事を私に押し付ける。 「私、生徒会じゃないんだけど」 「生徒会は生徒全員だよ」 「じゃあ、生徒会役員じゃないんだけど」 「俺の行動力についていけるようなレベルはいないから、一番近いお前にしたわけ」 「本当に、見下してばっかり」 「まぁ・・表ではいいやつだけどな」 榎原はすべてなのだ。 みんなの理想をすべて持っている人なのだ。 そう、私と違って、努力しなくても・・ 勉強もスポーツも出来る。 私は榎原の5倍は勉強しているだろう。 だけど、榎原に一度も勝ったことなんてない。 私はいつも5ばっかりの通知表に、体育の4か3を見つけるたびにため息がでた。 だって・・榎原は体育得意だから。 いつになっても・・榎原には勝てなかったんだ―。 前へ |次へ |
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