《MUMEI》

後ろから抱きしめた時も…感触とかだけじゃなく、香りもよく似てたな…。

こっちの寮は共同浴場だから、同じシャンプーとか使ってるんだろうな…。

(な…何を考えてるんだオレは///)

「どうしたの〜武?」
「何でもねぇよ///」

はるかの方をチラっと見ると、さっきの妄想を見透かしたかのように俺を一瞥しながら机の方へ向かい、参考書を広げていた。

「かなたも早めに宿題終わらせとけよ、最後の日になって俺に泣きついて来るんじゃねぇぞ」
「分かってるよぉ…」

声だって、たまに分からなくなる時がある。

かなたはいつも甲高いけど落ち着いたらはるかのような声に聞こえてくるし、はるかの奴が怒ってる時なんかたまにかなたのように聞こえてくる。

「武も大丈夫?」
「何が…」
「宿題だよぉ〜」

怒ってる声も、笑ってる声も、こいつらまだまだ子供っぽくって甲高い声だけど、ずっと聞いていたいくらい心地よかった。

「ん…いいんだよ、そんなモン」

かなたの膝を抱き、男にしては柔らかな太股の間に手を入れるとかなたはくすぐったそうに可愛らしい声でキャッキャと笑っていた。
  

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