《MUMEI》
古の香
かなり構えながらの3秒が過ぎた。


悠輔の目を見ながら、きちんと見れていない
3秒間だった。


何をやってるんだか・・・私・・・
そう肩の力を抜いた瞬間、突然大きな力に包み
込まれた。
勢いよく、悠輔が抱きついてきたのだ。



「!!!???えっっ」



東京の、ビルの、しかも密室で、何故だか微かな
草の香りが鼻をかすめた。


が、次の瞬間我に返ると、感情の抜けた注意喚起
が口を突いていた。


「悠輔!? そういうのNGって言ったでしょ? 
何で嫌がることするの!?」


すぐに腕を解いた悠輔は、少々項垂れながら
拗ねるように言った。


「だって・・・
こうでもしないと、俺を感じてもらえないと思ったから。 
頭じゃ分からない部分を、美香子に伝えたかったんだ・・・ 
ねぇ、何か感じた?」


振り切るような口調で伝えた。


「驚いただけ! 節度のない人は嫌いよ」


「ごめん・・・でも、俺の為にもう1回! いや、別の
パターンだったら、何か感じるかもしれない・・・」


「違うでしょうううっっ!!???」


軽く悠輔の頭を叩きながら・・・ 何故だろう。
呆れながらも、本気で拒めない私がいた・・・。

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