《MUMEI》
約束
それから数回、不意を突かれて抱きしめられたが
子供のじゃれあいのように騒いでは離れ、私が諌める
という、コントのような時間が過ぎていった。




「そろそろ帰らないとね」


悠輔の睡眠時間を確保する為、その言葉は早い時間
に告げられた。  とても楽しい時間だった。


カラオケを出て道に出ると悠輔の姿がない。
振り返ると、道の手前で立ち止まって、こちらを見ているのだ。


「どうしたの?」


「うん・・・
道に出ちゃうと、本当に美香子とお別れなんだなって思って。 
美香子ともう会えなくなっちゃうような気がするんだ。 
これが最後になりそうで・・・」


お人形のようなお顔とは不釣合いな、がっしりとした体を
小さくしながら、もじもじと話す悠輔を見た時、その姿が
若干ぶれて瞳に映った。  私、酔っているのかしら?


「そんなことないわよ。 また会おう。 約束する!」

「ほんとに?」


悠輔の足が一歩道へと踏み出された。


「はい、命綱」


私は右手を差し出した。

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