《MUMEI》
風駈ける丘
草原の忙しない冷たさが、時を越えて、果てしない丘に、捧ぐよ。

何にも侵されない丘が、
夕日混じりに遠く見えて、許される日々へと。

今宵、僕は、掛け替えのない、写真パネルを、そっと、置いて、戦いの街に、響くよ。

この、忘れない丘が、
精彩を欠くその日まで、
移りゆく時を、時間だけ、緩やかに止めて。

あの、仰ぐ青空を、小さく笑う鳥たちが、遠く見つめ、大地駈け、風が、舞うよ。

楽しい日々だけが、心地よい時間を、時を越えて、時間を越えて、夕闇に、雲を照らす。

紅い閃光が、目に見える視界から、爆音の消える、雲の切れ間から、泳いでいる。

決戦の日は、近く訪れ、大地は、還り、雲を乗せて、僕達を運んで、永遠の世界の向こうへ。

還り還る時間を、さざ波を受けとめて、永遠の光と、ともに、僕達は、眠る。


スティーブン・エス・エンジェル(米国)

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