《MUMEI》
嘘から出た恋愛2
 Aさんの満面の笑顔に自尊心をくすぐられ、そのむず痒さに頬が緩む。
 僕は彼女を愛していない。彼女の告白を受け入れたのは彼女が誰からも好かれる人気者だからである。僕に下らないちょっかいをかけてくるCは、憧れのAさんが僕と付き合うことになったのを知ればどんな顔をするだろうか。僕をゴミのような目で見てくるDさんは、親友であるAさんが僕と一緒に歩く姿を見れば悲鳴をあげるだろうか。今からとても楽しみだ。
「どうしたの?」
「なんでもないよ」
 僕は無意識にポケットの小瓶を握り締めていた。

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