《MUMEI》

「博士! はかせー!」

無邪気で幼い声。

その声の主であろう少年が、本を抱えて走り回っている。

見た目は声相応の年齢で、どうみてもショt・・・いや、なんでもない。

「ああ? どうした?」

人によるが、にそういう属性があるなら狂喜乱舞するだろう少年に応えたのは、三十路を超えて間もなさそうな、清掃作業中のオッサンだった。少年の父親に見える。

「あの、この本はどこに置いてありましたっけ?」

「それはそこの部屋の本だな」 と、指を差す。

了解です! と元気よく返事した少年はトコトコと指差された部屋に入っていく。

「ついでにその部屋の掃除も頼む」

分かりました! やっておきます! 聞こえてくる返事に頷いて、オッサンは清掃を再開する。

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