《MUMEI》
焦り
コート。



「あ…?」



中央に集まる秀皇。


ポスト市原がラインを踏み、



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



「…?」



(マジか?この体格差で?)



市原がセンター榊にボールを渡し、


ポスト位置へと移動。



「…ふぅ。」



途中、
市原は千秋とすれ違う。



(榊さんにマンツーね…


つか…


マンツーの分ディフェンス5枚かよ。


俺のことマークしなくていいんか。


へ〜...ムカつくわ。)



赤高のディフェンスは1・5。


センター榊へ千秋をぶつける。


はたから見れば完全なミスマッチ。



身長166cm 体重53kgの千秋。


対する榊は、
身長177cm 体重76kg。



その差は数字で見るまでもなく歴然。



(お…手柔らかに…してくれそうもないなぁ…)



千秋は若干逃げ腰。



(…何考えてんだこいつ?)



榊も千秋に何かできるだろうとは微塵も思ってはいなかった。


だが…


逃げ腰の千秋は、


自分の評価を知らない。


それはまだほんの一部。


本当にほんの一部の選手たちだけが、


千秋のそこ力を理解していた。

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