《MUMEI》

ヒュッ…!!



試合は進む。


自分に対しマンツーで付いた選手をすぐすぐ抜きにかかろうとする程、


榊は単純ではなかった。


と、


言うよりも、


この時点ではそんな気分にさせる程の実力を千秋は見せていない。


ちなみに、



(うぉぉ…こぇぇ…)



本人も榊をどうにかできるとは思っていない。



キュキュッ…!!



ボールは左45へ。


フェイクをかけ突破の意志を見せる左45。



「チェック!!」



単純な攻撃だが、


中を5人で守る赤高には実に効果的な攻めである。



(ポストの警戒は解くなよ…)



実質、


センターを抑えることに成功すれば大きな利点となるが、


1・5の体制はリスキーであった。


リスクを負う以上、



(抑えろよ…)



(抜かれたら殺す…)



(死守しろ死守ッ!!)



(抜かれたらお前のDSブッ壊すかんな…)



(携帯もだぞ!!)



(うぅ…)



千秋への期待は大きい。



(後ろからすげぇプレッシャーが…)



今、


まさにポイントはここである。

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