《MUMEI》

「…ったく。」



コート中央。
ため息混じりに呟くユキヒロ。



(今ので全員がっくしきたのは事実だけどさ〜、


さすがにそのギャグは今じゃないでしょクロさん…


千秋凹んでるし…)



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



ヒュッ…



千秋から椎名にボールが渡り、


千秋はポスト位置に付く。



(こんな時だからこそな〜...)



「日高。」



「あん?」



(気分を変える一発が欲しいんだよ…)



「あれ…やるか。」



「え〜...」



「やるぞッ!!」



「…あ〜。」



「1本行きましょ〜ッ!!」



ボールは赤高。















………………………………














赤高ベンチ。



「…ああいう冗談は笑えないと思います。」



「え?」



不機嫌そうな表情の佑香がクロに言った。



「千秋くん頑張ってるのに…」



「別に冗談じゃないけど?」



「だったら尚更酷いです!!」



「…あんなプレーしてるようじゃダメなんだよ。」



「だからって…!!」



「あのねぇ?


誰がどう見たって千秋があのでかいのにパワーで適うはずないでしょ。


僕が千秋を起用してんのはそんなプレーが見たかったからじゃないの。」



「…」



「チビだってやり方によっては勝てる。


それ証明したがってたのは千秋自身だし、


マジであの魔神とかいうのにビビってんなら僕のとんだ見当違い。


ちょっと買い被りすぎてたのかもしれない。」



「う〜ん…」



「千秋が魔神に勝つとこ。
佑香ちゃんも見てみたくない?」



「…」



考える佑香。



「千秋くん!!」



そして口を開く。



「ビビるなッ!!男だろッ!!」



「…それで良し。」

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