《MUMEI》 赤高ベンチ。 「…」 クロの表情は曇っていた。 話し掛けるなというような不機嫌な雰囲気に包まれていた。 (な…何怒ってんだこの人?) (やっぱ千秋先輩のことかな?) (結果的に村木先輩止めたんだから良しとしよ〜よ…) ベンチに座る選手たちにもその空気は伝わる。 普段口数が多い分、 こういう時は不機嫌なのがまるわかりなクロである。 ……………………………… 「離しましょうッ!!」 センターラインを越える赤高。 「ユキッ!!」 「あん?」 ポジションに付く為に走りながらユキヒロに話し掛ける日高。 「協力してやったんだから今度はお前の番!!」 ビシッ!! 日高は人差し指をユキヒロに向ける。 (俺の番って…) 「…意味がわからん。」 ヒュッ…!! 「っ…と!!」 椎名からユキヒロにボールが回る。 中途半端な形で受け取った為、 いつものステップに勢いとキレがない。 (っ…ておいまさかあいつ…) ディフェンスとの距離が遠い為、 必然的に視野が広くなる。 (早く『あれ!!』やんぞ!!) 視界に入るのは期待の眼差しで待つ日高。 (…マジかい。) 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |