《MUMEI》 はるかが大人しくお人形さんで遊んでると思えば、かなたが積み木を崩して楽しそうに笑う。 はるかにリンゴを食べさせているとなぜかかなたがゲップをする、そんな可愛い双子の面倒を見るのが大好きだった。 小さい頃、さくらがふざけて二人に女の子のような格好をさせていた時にスカートをヒラヒラさせて喜んでいたのはかなたで、リボンを引っ張って脱ごうとしていたのははるかだった。 俺の膝の上に乗って甘えてくるかなたを、向こうで羨ましそうに見つめていたはるか。 はるかは昔から甘えるのが下手だったな…。 身長も、俺の半分ぐらいしか無かった二人は最近育ち盛りで大きくなってきた。 でも昔はそっくりな双子だったのに、身長も外見も性格も離れてきてしまっていた。 普段は口が悪いが黙っていれば清楚で大人しく美しいはるか、いつも元気で素直でいつまでも可愛らしいがたまに賢くなるかなた。 小さな末の弟くるみは両親の元で元気にやっているようだし、そんな愛おしくて目の離せない育ち盛りの弟達と離れて、俺だけドイツで一人寂しく暮らしているのだった。 早く可愛い双子の弟たちに会いたい…会って、強くギュッと抱きしめたかった。 「兄さん///」 「おにーちゃー///」 「ぉ…お兄さん」 空港のロビーに到着すると、はるかとかなたと…前に一度だけ見た事がある黒い長髪のデカい奴が立っていた。 「寂しかったよ〜兄ちゃん///」 「俺もだよ、二人とも…」 ギューッと強く一ヶ月前よりほんの少し大きくなったような気がするはるかとかなたを抱きしめると、まずはかなたに頼まれていたフラミンゴのぬいぐるみを渡した。 「かなた、この人形のおかげで荷物検査止められたぞ」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |