《MUMEI》
イクタマキコ
「…あ、えっと」




状況は非常に悪い。

ソウランを出そうとしたタイミングで、田中が落下を始めた。

田中を救うことにいっぱいで、周りを気にせず魔法を使ってしまった。




蔦を数本伸ばしてネットを作ろうとした。

だが、ネットを一瞬で作るにはまだまだ魔法が弱く、落下の力が加わった田中の体重を支えられるネットを作る事が出来なかった。


だから、クッションになるほど枝葉の多い木を地面に生やして落下の衝撃を弱めたのだが、

まさかその目の前の保健室に生田先生が残っているとは…




「…後ろにいるの、田中君よね?」


完全にフリーズした山男を困惑した表情で見つつ、生田先生は敢えて細かい質問はせずに保険室の教諭らしく後ろの田中を気遣う。




「…」

「気を…失っているのよね…その様子だと…」

「…」

「…今は何も聞かないから、とりあえず、田中君をこっちに連れてきてくれる?」




返事をしようとしない山男にため息をつきながら、静かに指示を出してくる生田先生にようやく山男は小さく首を縦にふった。

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