《MUMEI》

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お兄さんはこっちにいる間、ホテルに滞在するという事で、皆でそのホテルに向かう事になった。

俺も一緒に…というか両側に双子を連れて楽しそうに話しているお兄さんの後を荷物を持ってついて行く、いわゆる荷物持ちのようなカンジだった。


電車のボックスシートの席に座ると、俺の隣にかなた、かなたの正面にはるか、そして…俺の正面には眼孔鋭いお兄さんが座る。

遠足気分なかなたは俺の隣ではしゃいでいたが、こっちはそれどころじゃなかった。

それに、はるかの奴は俺に泣き顔を見られた事が気まずかったのか、泣きはらした赤い目でこっちをチラチラと見ながら気にしているみたいだ。

そんな事されたら、こっちだって気まずいじゃねぇかよ…。


「かなた…コイツとはうまくいってるみたいだな」

俺らが黙っていると、お兄さんが俺らの事を交互に見ながらさっきまでの険しい顔から穏和な顔になって俺らに話しかけてきてくれた。

「うん、そうだよ〜昨日もね〜♪」
「うわっ///」
「むぐっ!」

今の時期は夏休みという事もあって、寮に残ったのは俺たちぐらいなモノだからかなたが俺の寮の部屋に泊りに来てくれた。

そういう事なんで寮の部屋で俺ら二人っきり、一日中裸になって思いつく限りの色んなエッチをしまくって楽しんでいた。

だから”昨日”と言えばその事しか無いんで、それを言うかと思って慌ててかなたの口を塞いだのだった。

「何だい、聞きたいなぁ…」
「えっι」

お兄さんはその長い足で俺の足をがっちり捕まえると、腕組みをしながらこちらを見据えてきた。

「ぁ……ι」

お兄さんの顔はニコニコと笑ってはいたが、よくよく見てみるとあの冷たい色の眼をこちらに向けて俺を睨んでいるようだった。

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