《MUMEI》 暗がりの部屋でこれでスルーされたら完全に終わっているということだ。 もう寝なきゃ・・・ その間際で送ったメールだった。 気にしないように、私は真っ暗な部屋で布団を被った。 気にしない・気にしない・気にしない・気にしない・・・・ 「羊が一匹・・・」で眠れた試しがないのに、何やってるの? 暫く続けた後で、勢い良く布団を跳ね除けた。 と同時に携帯のバイブレーションが響いた。 「悠輔!!??」 自分でも哀れに思う程のスピードで携帯に手を延ばした。 ドキドキしながらメールを開く。 <いつもご来店ありがとうございます。 このメールは 会員様限定のお得なクーポンをお知らせする・・・> 2ヶ月に1度足を運んでいるまつ毛パーマ専門サロン からのメールだ。 「何なの、このドラマみたいな切り替えし・・・」 全身の力が抜けながらも、一応お徳情報に目を通している。 ガックリしながらも『Wトリートメント今月は無料!』の文字に 若干胸をトキメかせている。 「へ〜〜。 行こうかな」 クーポンメールを最後まで読みきろうという時だった。 携帯が光り、メールの着信を伝えた。 緩んだ表情に緊張が走った。 悠輔の名前がスクロールされたのだ。 最初の勢いとは対照的に、血の気が引き、しんと静まり 返った部屋に、荒くなっていく呼吸音だけが痛々しく 広がった。 どうしよう・・・ 前へ |次へ |
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