《MUMEI》 「そっちの片は付いたようだな。弁天」 大量の血に塗れながら だが表情一つ変えず傍らへと立ち位置を変える弁天 眼を見開いたまま倒れ伏す広川を見下ろし 「……こんな、ヒト一匹の為に。何故こんな事に……」 脚元にも散ってしまっている影の手を見 弁天が憎々げに呟く事をする 「……鬼姫は、いつの時代も鬼ばかりを狂わせる。それは永劫輪廻、仕方のない事だ」 「……これは、どうしますか?完璧に、消しておきますか?」 「……放っておけ。所詮こいつは(ヒト)の身だ。放っておけば何れ朽ちる」 自分が手を下すまでもない、と柊は肩を揺らしながら だが広川の額に掛る前髪を掻き揚げ、顔を覗き込めば せめて今だけはゆるり休め、と まるで慈しむ様な優しい口付けを、柊は広川の額へと降らしたのだった…… 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |