《MUMEI》

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赤高ベンチ。



………………………………














「やっぱあいつは穴に気付いてたか。」



椎名のプレーに驚くことなく、


ベンチで呟くクロ。



「今…どうやって…?」



盛り上がる反面、


イマイチ状況を掴めていない選手たち。



「別に変わったことは何一つしてないよ。


軽くフェイク入れて隙付いて抜いただけ。


あまりにもあっさりすぎたから不思議に感じてるだけ。」



「いやいや!!


『あっさり!!』


抜けるってのが不思議なんですよ!!」



「…それは非常にシンプルな答えを提供できるよ。」



「はぁ?」



「あいつは…


市原はディフェンスが下手。


ただそれだけ。」



「な…!?」



「えぇ!?」



「だ…だって!!
めっちゃ上手い1年って!!」



「うん。
めっちゃ上手いと思うよ。」



「え…え〜?」



「ただ…それは現時点では文句の付けようがないってくらいの上手さ。


オフェンス面なんかは既に高一のレベルとは言いがたいね。


ただ!!


ディフェンスはまだ高一の上手い奴レベル。


パワーとかスピードとか。


身体能力に頼った強引なプレーにはまだまだ弱い。


やられれば隙ができる。


その程度なんだよ。」



「え…じゃあ…」



「そ。穴ってのはあいつ。


ユキヒロが強引に行けば簡単にその穴は姿を現すと思うよ。


今のでユキヒロも気付いたろうしね。」

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