《MUMEI》 (まさかあいつまだ榊にビビってんのか?) 「…」 真夏の体育館。 会場の温度は外の比ではなかった。 選手たちは勿論として、 観客にも汗が見える。 だが、 その類の汗とは違った汗をかく千秋に、 椎名は疑問を浮かべた。 (何だあの顔…?) 「…」 (榊に対する恐怖とか… そういう感じじゃ〜ね〜んだよな…) 「椎名ッ!!」 「っと!!」 (ぶねッ…!!) 集中を別の方向へと向ける椎名の隙を突こうと、 秀皇は容赦なく切り込む。 ユキヒロの声で何とか意識をボールへと戻す椎名。 峰田のカバーも入り突破は許さない。 が、 ダッ…!! (き…来たッ…!!) 今のプレーに一瞬気が逸れた千秋の隙を突き、 榊が仕掛ける。 さっ… コートでは審判が手を上げる。 「手ぇ上がったッ!!」 ベンチから叫ぶ秀皇の選手たち。 (抑えろッ!!) 赤高ベンチではクロが手に汗を握っていた。 (これ抑えりゃ向こうはロング打つしかない!! ロングなら村木が止める!! 超有利な展開だぞ!! ファールの1つくらいくれてやれッ!! 点差離すのが最優先だッ!!) キュッ…!! (あ…) 榊はあっさりと千秋を交わし、 フリーの状態。 当然パスは通る。 「カバーッ!!!!!」 (わかってるッ!!) 千秋が前線に出ている為ディフェンスは1枚少ない。 間を割られる確率も高く、 ポストも動きやすい。 「くっ…!!」 突破かポストか? 迷いの生まれたディフェンスの頭にはファールで抑えるという選択肢はなく、 榊になんなく突破を許す。 (ばっ…) バスッ…!! (かたれどもが…) 得点を許す。 19分07秒。7対6。 前へ |次へ |
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