《MUMEI》

赤高ベンチ。



「…啓太。」



「はい?」



ベンチのクロが久保を呼ぶ。



「この攻撃でユキヒロは間違いなく1点取る。」



「はぁ?」



「そしたらお前その次のディフェンスとオフェンス出ようか。」



「えッ!?」



「ワンプレーでいい。
そのワンプレーに使う時間が欲しい。」



「俺はッ!?」
※沖。



「お前をワンプレーの為だけに使うのはもったいないだろ?」



「あ…そういう理由なら別にいいんすけど…」



「いい啓太?
ダメな先輩の為に一肌脱いでくれ。」



「ちゃ…チャンスが貰えるなら俺はワンプレーでも出ます。」



「…いい答えだね。」



クロは笑う。



「交代は千秋と。」



「はいッ!!」















………………………………














バスッ…!!



「ナイッシューッ!!!!!」



(く…そ…)



ユキヒロの突破からシュートが決まる。


市原は自分が狙われ始めたことにようやく気付く。



(こんなカモちゃんがいたんか…)



ディフェンスに戻る赤高。



「千秋さんッ!!」



ベンチから千秋を呼ぶ久保。



「ん…」



「交代ですッ!!」



「…」



(まぁ…当然か…)



千秋がベンチに下がり、


再び久保がコートへ。



19分48秒。8対6。

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