《MUMEI》 手料理二人でスーパーまで歩く。 「何食べたい?」 「何だろう…得意料理は?」 「ない」 「えっ(°□°;)」 「私、料理なら何でもできるから」 「すごいな」 「いつも…お母さんの手伝ってたから…」 「…オムライス食べたい」「オムライス?」 「えっ、変?」 「変じゃないけど…何か…意外すぎて」 「俺がオムライスって変?」 「うん。いつもカッコつけだから…」 「そうか。でも俺の一番の好物だから…覚えといて」 「わかった」 『覚えといて』と言ったけど、それって私にもう一度作って欲しいってことなのかな? 「ここに来るの初めて?」「うん、家と逆だから行ったことないよ」 「じゃあ、俺が案内するよ」 「ありがとう」 「卵は入口近くのここ」 「野菜はここ」 そうやって、1つずつ教えてくれる。 「全部買ったね」 「ぉう」 「急いで作るからね」 「ここにあるフライパン使っていいよね?」 「いいよ」 「何でオムライスなの?」 「ん?秘密」 「は?何それっ!」 「母さんに作ってもらったんだ…よく」 「ふ〜ん。マザコンか…」 私は冗談でそう言ったのに。 「俺…、お前みたいに母さん…事故で、、」 「うん」 「死んだよ…」 「えっ…」 「それから父さんとは折り合い悪くて金の援助だけなんだわ」 「ぅん」 「俺が小1の時で…甘えたかったんだ…だから今でも…マザコンなのかも」 「そうだったんだ」 「お前が見えたとき、奇跡かと思ったよ…でも同時に母さんは俺に未練ないのかなって思った。だって…幽霊って未練あると出るんだろ?」 「そう言うね」 「お前はないのかよ」 「分からない…」 「分からない?」 「何で私が幽霊になったか分からない…わかりたくないの」 「何で?」 「もしかして誰かを恨んでいるからココにいるのかなって。それなら私…怖いよ…。私が知らない私が誰かをひどくうらんでるなんて…考えたくないよ」 「でも…何か心残りがあるからいるんだろ?」 「たぶん…そうだと思う」 「わからないけど、家族に想い伝えたら何か変わるんじゃないかな…」 「変わる?」 「信じたら?今まで生きてきた自分も友達も、俺も」 「信じようかな」 「俺がみたお前は…すげぇ優しい奴だよ。誰かを恨んで生きるようなヤツじゃねぇ。信じろっ、自分を…一番信じてやれよっ」 「ぅん…信じる…私のことも、私のそばにいてくれた美佳も榎原も」 「おぅ」 前へ |次へ |
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