《MUMEI》

とりあえず電話する。

『もしもしー?』

ノイズまじりに聞こえる相変わらず間延びした呑気な声。

「荷物届いた。めちゃくちゃデカいんだけど」

『あーもう着いたんだ。あれでも減らしたよ、最初6個あったからね』

「どんだけ荷物あんだよ、もはや家ごと持ってきたほうがはえーだろ」

『あはは、だって本当に死ぬまで1ヶ月かどーかわかんないじゃん。ちょーど季節の変わりめだしさ、春物も送ったんだよね』

さりげない一言に、思わず言葉につまる。
向こうもそれに気付いてあわてて話題を変える。

『今コンビニだからもーすぐそっち着くよ。何か欲しいものあったら買ってくけど』

「あー別に何も。つか、迎えにいこうか?」

『いい。寒いし。じゃもーちょいだから待っててねー』

「はいはい」

さっさと電話を切る。アイツはいつも俺が切るまで電話を切らない。テキトーに見えて律儀だよな。

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