《MUMEI》
記憶。
私は、いつから“人間”という生き物が嫌いになったんだろう?


多分、きっかけはあの事件だと思う。

あの事件が私の運命を狂わせていったんだ――。





私の名前は、弓原 紗恵。
15歳で、部活は美術部。

勉強は、かなり苦手で 美術以外は、成績は全部3。ちなみに、美術は5だったりする。)





時刻は、午後6:56

いつもより、部活が長引いてしまい、帰宅時間が遅くなってしまった、そんなある日の事だった。

私は、靴を脱ぐとリビングへ向かおうとした、その時だった。

「もう、いい加減にしてっ!!あなた、紗恵がいるのにっ、これで何度目だと、思ってのっ!!!?」


リビングの方から、お母さんの怒鳴り声がした。
私は、溜め息をすると“またかぁ、”と呟いた。

そして、そのまま自分の部屋へ行くことにした。

私の両親は、私が幼い頃から、よく喧嘩をしていた。
だから、両親が喧嘩しても私は特に、止めようせずにただ、見ていた。

喧嘩の理由は、大体がお父さんの浮気。

そんなに、違う女の人といたいなら 、早く離婚しちゃえば良いのに………。




「はぁ、そうだ…詩那に、メールでもしようかなぁ。」


ポケットから、携帯を取り出すと私は、親友である山城 詩那に、メールを打った。

“詩那〜、部活お疲れ様っ!!””

しばらくすると、詩那から電話がきた。

♪♪♪♪〜

「もし〜?詩那ぁ〜」

『紗恵〜、またお母さんとお父さん喧嘩してるん〜?』

「うん……、もう慣れたけどね。それより、なんで分かったの?両親が喧嘩してる、って。」

『だって、紗恵さぁ両親喧嘩してたら、うちにヒマだからよう、どうでもいいメールしてくるじゃん。』

「どうでも、って…ひっどぉ〜!」

『あはは、ごめん〜』

それから、しばらく詩那と話して私は電話を切った。






時刻は、10:43。

数時間前まで、聞こえて
てきたお母さんの怒鳴り声は、もう止んでいた。

やけに、下が静かだった。

「う〜、お腹すいたぁ。」

思えば、帰ってきてからずっと、詩那と話してたから、私晩御飯食べてないんだった。

私は、ご飯を食べようと下へ下りることにした。

カタン……。

シンッ……。


リビングに、いるはずの両親がいなかった。
まぁ、お父さんがいないのは、家を出てったからなのかもしれない……。

けど、お母さんは?
お母さんは、この時間はいつもリビングにいる、ハズなのに…。


ドクンッ……。


なんだか、とてもイヤな予感がした……。

「お、お母さんっ…?」

試しに、名前を呼んでみたけれど、返事は返ってこなかった。

「あっ、お母さんっ!!」

ふと、ソファーを見るとお母さんが座って、寝ていた。
その姿を見て安心する私。

けれど、なんだか様子がおかしかった。

真っ白なはずの、ソファーが一部分赤く染まっていたのだ。

「えっ……?」

う……そ。

なんで……?

ちがう、あの赤いのは血じゃない。

ちがう、ちがう………!
!!!!!

お母さんは……、お母さんは、……!!!!



「いややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややややあああああああああああああああああああああぁぁぁぁっ!!
!!!!!!!!!!!!!!!!」
















つづく。

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