《MUMEI》 穏やかな2日目ぴぴぴ、ぴぴぴ、 電子音で意識が浮上した。 脳に膜をはったような起き抜け独特の感覚が、じわじわ溶けていく。 まだ電子音を鳴らす携帯をつかむ、AM8:30。今日は大学は休み、あぁバイトがあるな。 愛煙家の悲しさで寝起きの口が乾いている。タバコ吸いたいな。 隣を見ると、小さくなって眠る恋人の姿があった。2人で寝るには狭すぎるシングルベットの壁側に、頭まで毛布をかぶってくるんと丸まっている。 コイツ学校行かなくていいのか、ていうか今日日曜日か。 「んー‥‥んぅー」 動物的な唸り声と共に寝返りをうってこちらをむく、ぱち、目があう。昨日はすっぴんにちょっと驚いたけど、やっぱかわいいよな。 「おはよ」 「‥‥今何時?」 「8時半ちょい。まだ寝てろよ」 「んー‥‥ううん、もう起きる」 足をあげてぐるん、と半身を起こす、子供ですか。 あちこち芸術的に跳ねた髪、ボサボサのロングヘアをかきあげて欠伸をひとつ。 「よく寝れた?」 「うん。洗面所借りるね」 スウェット姿のままベッドを飛び降り、裸足でフローリングを踏む。 前へ |次へ |
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