《MUMEI》 山男を自らの魔法で飛び降りさせた善彦は、階下から悪い報せが聞こえて来ないかしばらく耳をすましていた。 着地に失敗したような音や大きな叫び声が聞こえない事から、どうやら大きな問題は無かったようだと解釈する。 先ほど振り回されたせいで、倒れた机と机の間に引っ繰り返されたままの体勢。 痛みで感覚が麻痺していたから気付かなかったが、右足は椅子に乗っている。 「……チカラには後で礼言わなきゃな。」 そう呟くと、善彦は腹筋を使って勢いよく起き上がり、片膝をついた状態で、自分を縛りつけている「何か」を引っ張る。 ―我ガ望ミ叶エルカ 引っ張られた事に気付いたのか、また片言の言葉が聞こえてきた。 「…ったく、"望み"だけで分かるかっ!」 縛りつける何かの先にいるであろう見えない相手―ハラショウ―の位置を予測し、そこに向かって善彦は一気に魔法を解き放った。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |