《MUMEI》
ペルソナ
なのに体は自分から男へと密着度を増してゆく。

しかしそれはほんの数秒だった。



「女心を分からぬ者など知らぬ。  
他の遊女でも相手にしておけば良い。
私はそんな女ではないのじゃ。  帰ってくれぬか?」


「悪かった・・・・ただ、、体が心配で・・・」

男は言った。



体が心配!!???  嘘よ!!! 
心配しているようなキスじゃなかったわよ!?



男は身支度を始めた。


「また来る。
貴女を傷付けるつもりはなかった。
いくらでも詫びよう。
ただ、知っていてほしい。
私にとって貴女に代わる女など、世の中にはいない。
これは私の本心だ。
だから聞かせてくれ。  花魁・・・・ 
私の子だったのか?」



花魁!?



「何のことじゃ?」


「隠さなくったっていい。 
貴女ほどの女性、事情は街中が把握している」


「おやおや、どこぞの遊女に入れ知恵でもされたか?
それを信じるのならばそれまでのことじゃ」


「違うのだ。 私は真実が知りたい。
初めて心から愛した女性の口から、本当のことを・・・・。
いずれ私は貴女を身請けする誓いを立てている。
もし、貴女が私と、私の子のことでひとり苦痛を背負い
込んでいるならば、今すぐにでも何とかしよう。
出来なくとも金は工面する。 
その覚悟があって、私は貴女を愛しているのだ。
だから聞かせてはくれないか?」



男の姿は照明があまりにも暗くてよく見えない。



何なの? この設定?
私の中に誰か別の人がいる。 
子供がいるの?  
覚悟って・・・  悠輔??


「ふぅ・・。  
知っておろう。 私はここで最も愛されし女。
この座を狙おうて、情報操作を行う浅ましい女も
おるというだけじゃ。  
それに乗るのか? 貴方ほどの御方が・・・ 
残念でならぬのう。  私もだいぶ目が落ちたものじゃ。
いや、真実はいずれ明白になることを信ずれば
妬みの操作にも甘んじよう」


「では、やはりただの噂であったのだな?
貴女が子を堕ろし、そのことで休暇を取っていたと?」

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