《MUMEI》
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「佑二、いるのか?」
「!!!」
「ッ…!」
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それはまだ、先の話
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「寒………」
「…ごめんな」
晴れていて比較的暖かい日ではあったけど、
冬だ。
上半身裸は、寒い
秀一も、だろーけど…
それを素直に言葉にしたら、気を遣われてしまった。
「でも、すぐアツくしてやるから…」
言いながら秀一は、俺の首の付根に唇を触れさせる
その顔は、見えない
秀一、俺の首元好きなのかな。
「首…うん」
そう思った言葉は、口から出ていたらしかった。
「お前に限らず、首にキスすんのは好きだ」
「俺に、限らず…」
ちょっと、不満だった
秀一は、首にキスをしながら言う。
「だって此所に思いきり、歯ぁたてたら…」
「いッ…!」
俺の首に歯が食い込んで、痛い
すぐに秀一は力を緩めた
「俺が好きなように、すぐ殺せるから。…ごめん」
「いや…俺が訊いたんだし…」
秀一は今度は噛んでいた場所に
いたわるように舌を這わせた
「…くすぐってぇ」
首からゾクゾク、背筋に変な感覚が降りて来る。
「俺のモノ。」
「え?」
秀一は顔を上げて微笑んだ
「しるし、付けたから」
しるし…
キスマーク………?
「俺を、忘れんなよ…佑二……」
「……ん…」
秀一が俺の耳元で囁いた声は
耳に風を送って
俺の肩を震わせはしたけど
俺に、意味を理解させる力は無かった
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