《MUMEI》

上階に上がった二人は、目の前の光景に絶句した。


「こいつは……」

「ランクCの…オーガのマーク、じゃない?」


一面の血の海、開いたままの瞳、所々欠けた体が彼がすでに死亡していることを告げていた。


『マスター、既に気化していますがオーガの血の臭いもします。……この量おそらく、生きては……。』


「くそっ!あいつっ!」

ヘルハウンドの言葉が終わらぬうちに吐き出すように瀧が漏らした。


「瀧……。」


ミツも声をかけるのをやめ、つい、と目をそらす。


オーガのマーク、力自慢のランクCのSCオーガの保持者で、気の優しい青年だった。
本人は嫌いなのだが、オーガの充電の為、涙目で食堂でレバーのソテーを食べていたのを思い出す。


「あいつっ、なんで、マークを…!!」


拳を震わせながら話す瀧に、周囲を見渡していたミツが、


「瀧!あそこの壁!」


ミツが指差した先には、


Hello! everyone

Are you ready ?


Game Start !!


と、血で書かれた文字があった。

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