《MUMEI》

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だって、おかしいじゃないですか。「他に好きなひとが出来た」、「そのひとと付き合いたい」なんて、いきなり言われても全然信じられないですよ。ウソに決まってる。俺がこんなに好きなのに、美帆が他の男を好きになるなんてあり得ないでしょ?

でも、あいつ、それでもウソをつくんですよ。俺が「全然わかってない」って言って。わかってるっつぅのに。要するに、ウソですからね。全部。誰よりも美帆のことをちゃんとわかってるのに、俺のこと「もう好きじゃない」とか、なんでそんなつまらないウソをつくんだろう?

美帆は俺にウソを信じ込ませようと必死みたいでした。「ホントに別れたい」とか、「終わりにしよう」とか、ベラベラべらべらウソばっか並べて。泣きそうな顔してました。きっとウソをつくのが辛かったんでしょうねぇ。ウソだとわかっててそれをずっと聞かされる俺の方がもっと辛かったけど。

いつまでたっても、美帆は黙ろうとしませんでした。ウソをつきたくないのに、ウソをついてる姿は本当にかわいそうでした。だから、もう、終わらせてやろうと思ったんです。

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