《MUMEI》

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美帆の首は俺の手が余るくらい、とても華奢でした。少し力を入れると、もう声が出せなくなったみたいで急に部屋が静かになりました。首を絞められた美帆はずっと俺を見てました。俺を見つめながら、ゆっくり唇を動かしたんです。「どうして信じてくれないの?」って。その後、美帆は目を閉じました。呼び掛けても答えてくれなくて。やっと黙ってくれたんです。安心しましたよ。

これでもう美帆はウソをつけなくなりました。良かったですよ。あの時のあいつ、ホントに辛そうだったし。すごいかわいそうで、見てられなかったもん。ちょっと手荒なマネしちゃったかな?怖がってたし。まぁ、あいつのことだから、またケロッとして「日曜日どうする?」とか言うんでしょうけど。

あれ?刑事さん、何で電気消しちゃうんですか?
え?取り調べは終わり?そうですか。それじゃ、俺、もう帰ってもいいですか?え?ダメなんですか?困ったな…いや、ホラ、美帆がまだウチにいるんですよ。あいつ、ひとりぼっちになるの、嫌がるんですよね。早く帰ってやりたいんだけどな…。

だって、かわいそうじゃないですか。ウソつきな彼女を理解してあげられるのは俺だけなんだから。

FIN.

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