《MUMEI》
少女
月明かりだけが辺りを照らす夜。薄暗い廃ビルの一角に悪魔と少女がいた。

少女、というには背中と腰に不似合いなものを携えている。二丁の銃を納めた西部劇に出てくるガンベルトを巻き、切れ味の悪そうな鉈よりも肉厚な長剣。

唯一少女らしさが見れるのは額の上のゴーグルと楽しそうな笑顔だけ。

これらは目の前の悪魔を討伐するために用意されたものだ。

「ヴィラン・カーク。なかなか面白い悪魔じゃない。人の格好して金儲けするなんて、一口上手いやり方を教えてもらいたいものね」

「残念だが私のやり方は少々残酷でな。死ぬほど苦痛を味わいながら血を流すことになるぞ娘」

「そう、じゃ私には無理だ」

銃を抜き出し銃口を向ける。

「スプラッタとか痛々しいの、あんまし好きじゃないのよね」

涼しい顔のまま、少女の両手のマシンガンが火を吹いた。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫