《MUMEI》
「でもなぁ…」
「何だ？」
「男二人で温泉旅行って…何か変じゃありませんか…」

確かに言われてみるとあきらは私から見ると女性のように見えても、こっちだと普通に男性に見える、それに宿泊するのだから当然男性だという事は分かってしまうし、男二人だけで宿泊するとなると何かを疑われてしまうかもしれない…。

「う〜ん…そうだ！双子の弟さん達も一緒にどうですか♪」
「え…」

突然、アキラがいい事を思いついたというような顔であの双子達も連れて行くと言い出した。

どうやら、この前の夏祭りの後にかなたと仲良くなったらしく、俺の知らない所で今でも携帯でやりとりをしているようだった。

「今は夏休みですし、ヒマだ〜ってメールしてきましたよ♪」
「あぁ…そうだな」

そう嬉しそうに言うと、さっそくアキラが携帯を取り出してあの子達にメールを打っていた。

（…やましい考えを持った俺が悪かったのかもな）

楽しそうにメールを打っているアキラを眺めながら、予約の人数を大人二人から四人に増やして探してみる事にした。

かなたの事も考えて子供でも楽しめるような施設、プール付きだとかゲームセンターあり、などの候補を探していてふと思いついた。

（そういえば…アイツらも来るって事は、もしかしたら”プレ夫婦ごっこ”になるワケか…）

…あの双子達は小さい頃からちょっとばかり抜けている両親に代わり俺が世話手伝っていた事もあって、あの子達の好きなものから学校の成績、足のサイズまで知り尽くしている、もはや半分くらい俺の子供も同然だった。

「どうしたんですか克哉さん？」
「いや、何でも…///」

思いつけば即実行で、旅行会社のサイトにあった”ご家族にオススメ”というバナーをクリックした。

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