《MUMEI》

「――!!」
あからさまな殺意を向けられ、豊原は引き攣った様な声を上げる
伸ばされた手を、恐怖のあまり避ける事が出来ない
「嫌ぁ!!」
唯一動かせたのは口
拒絶に叫ぶ声を上げてしまった、次の瞬間
突然に、強風が辺りに吹き付ける
花弁を大量に攫い、辺り一面を薄紅に染めた
要ラナイ、必要ナイ
音とも声とも取れないソレが頭の奥に鳴り
それ以上何も聞きたくなどない、と
豊原はそのまま意識を失ってしまったのだった……

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