《MUMEI》

ばしゃばしゃと顔を洗う音を聞きながら、窓をあけて煙草を吸う。煙草も身体に悪ぃよな、これを機にやめようか。ふわり、ふわり、窓の外に紫煙が漂う。
ニコチン切れの身体が徐々に蘇ってきて、俺も歯を磨くべく洗面所にいく。
顔を洗う横で歯ブラシを手にとる、ってこれは‥‥

「ごめん、もうちょいだから。ってかお湯でよくない?」

何もかもが一人仕様のせいで、歯ブラシを持ったままたたずむ俺。
仕方ないからお湯で歯ブラシを洗い歯みがき粉をつけて口に含む、生ぬるくて気持ち悪い。
そんな俺を尻目に、顔を洗いおえてタオルに顔をうずめながら、彼女は小さく笑う。

「何かさ、ちょっと恥ずかしいね」

「‥‥あ?」

あ。
口の端から白いものがこぼれる。

「何か新婚さんみたいじゃん」

はにかみながら笑う彼女を無性に抱きしめたくなった。


狭いベッドもぬるま湯の歯ブラシも、二人でいればどうでもよくなった2日目の朝。
あらわになる肌荒れも、おでこのニキビも全てがいとおしかった。

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