《MUMEI》
修二の夢
「はぁ…加奈子さん。君って子は…」
有馬は呆れた様な声を出し、しかし顔は明らかに怒った表情を作っている。
「修二君、コレが君の彼女ですか?なんとも醜い…。少し黙らせてくれませんかねぇ?」
「申し訳ございません!」
有馬に睨まれた修二。
まるで、蛙が蛇に睨まれている様な緊張感が二人の間に走った。
「ほら加奈子、こっちへ…」
「い、いや!触らないで!!」
加奈子は修二に捕まれた腕を力一杯振りほどく。
「いい子だから…な?」
有馬の命令は絶対だ。
それ故、こんな事で諦める訳にはにかない。
修二は躍起になり、今度は身動きが取れない様、加奈子を後ろから羽交い締めにし、有馬の目に付かない所迄連れて行こうとした。
だが、無論加奈子も抵抗しようと暴れだす。
「いや!離してっ!やめてっ!!。」
「こらっ!暴れんなって!!」
「なんで‥っ。なんでシュウちゃん達がこんな男の言いなりなの!?」
そうだ…
なんで私達がこんな事に巻き込まれているのだろう…
加奈子は自分で言った台詞をもう一度繰り返す。
「どうして…なんでシュウちゃんが関わってるの?」
「ドクターと同じ理由さ。」
「同じ?」
「そう。自分の夢の為だよ。」
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