貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》2
「今夜、夜襲をかける」
禿頭で少し太めの団長は自らの白髪交じりの顎髭を撫でながら言った。
「無茶…ではないのか?奇襲とはいえ相手は5千の大軍だぞ」
参謀とも言うべき長い黒髪を後ろに三つ編みでまとめた切れ目の女性は頭の緩い団長を睨みながら問う。
「問題はない。少人数で奴らの頭を討てばそれで終わる。もし失敗したとてこちらの損害は皆無だ。わかるだろミリア?」
彼の自信に満ちた目。
恐らくは経験からの物言いなのだろう。だからこそ彼女─ミリアには信頼できないのだが。
「…わかりました」
ここは納得しなければならないだろう。悔しいが相手は団長。単なる一個中隊隊長の一人でしかない自分が大それた事を言えるはずも、言ったとして彼の耳に入ることはないのだから。
(全く何のための"参謀"なのよ…)
形だけのお飾りはもううんざりとは思うがミリアは決してそれを口には出さない。ただいつものように唇を噛みしめるだけだ。
「赴かせる小隊はお前の部隊からだせ。ああ、飛びきり優秀な部隊をな」
団長は嫌みたっぷりに笑いながらそう言うと作戦本部のテントを出ていった。
あの言葉に成らないほどの自己顕示欲に呆れてものが言えない。と綴るまでもなく、ミリアもまた深いため息をつきテントをでた。
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