《MUMEI》

「ちょっと///下は自分でやるから!」
「いいです、僕がやります」
「い、いいって!」

 強情な克哉くんから無理矢理スポンジを奪い取ると、洗っている姿を彼に見られるのが恥ずかしかったので彼に向かって背を向けた。

 そうして洗っている最中も、背後から刺すような視線を感じたので後ろの方に顔をチラリと向けると、克哉くんが僕の後ろ姿をじーっと見つめていた。

「…見るなよ」
「ぁ…」

 声を掛けるとハッと正気に戻った彼は頬を赤く染めながらバスタブの中に入っていった。

「ふぅ…///」

 身体を洗い終わって彼と交代でバスタブに入ると、その端に頭をもたげてそっと目だけを彼の方に向けた。

 身体を洗っている彼のアレに視線を移すと、さっき見たのよりは大人しくなっているように見えた。

(あぁ…という事は…さっきのはそういう事なのか)

 元々こうなってしまったのも克哉くんに迫られた事が原因で、俺がそれを避けようとしてバランスを崩して、机から落ちてしまったんだった。

 さっきの彼があの状態になってたと言う事も、僕を裸にする事に興奮していたという事なんだろう。

 僕はゲイとかじゃないからその気持ちは分からないけど、きっと女性に感じるような感覚と一緒なんだろう。

 そういったような事は本や断片的な情報でのみ見たことはあっても、やっぱり実際にセクシャルマイノリティーの知り合いなどは全然周りに居ないので、これがどういう事なのかも分からなかった。

 養護教諭という職業柄、怪我や病気だけでなく思春期の生徒の心理的にナイーブな部分のカウンセリングもする必要もあった。

 克哉くんには悪いけど、彼は実例サンプル一号という事になるのかもしれない。

 それに、彼は賢いから俺は色々と彼に教えてもらう事もあるだろう。

 本当に…こっちに来て初めて仲良くなれたのが、克哉君で良かった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫