《MUMEI》

1番左端に七生、1番右端に俺が座る。七生は朗読に出る為、入口側に控えだ。


朗読の本を見ながら、七生はブツブツ呟いている。

おっと、目が合いそうになった。



「なあ、俺達の作品ちゃんと見た事ないんだけど」
隣の東屋が声かけてる。そういえば忙しくて編集した先輩達しか見てない。ドラマ部門は別室だから見ないで終わりそうだ。七生が早く終わるなら空き時間に行こう。


「いや、はたしてあの話が一般受けするかどうかだよね……」






七生が性同一性障害で乙矢に愛文……つまりラブレターを靴箱に入れて話が始まる。

高遠がその瞬間を目撃して七生に言い寄り、乙矢が助けることで二人の距離が縮まってゆく。……という内容だったような?

先輩は短い時間でまとめるのに苦労したようだそこが仇とならなければいいけれど。

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