《MUMEI》

 足をケガした子に簡易な松葉杖を渡すと、克哉君はその子を支えて保健室を後にしようとしていた。

「では、失礼しました」
「あ…うん…」

  出ていかないで…。

  もうちょっと…彼に居て欲しい…。


「ぁ〜…松葉杖のキミ、経過見るから明日も来てね」
「はーい」

 あれ…僕は何を考えていたんだろう…。

 窓から入ってくる暖かな日差しに浮かされていたのだろうか…。

 それとも、白金の彼に見つめられ過ぎて勘違いしてるんだろうか?

 ケガをした子に”また来て”と言ったのだけど、内心…隣の彼の背中を眺めながら、あの金色に輝く彼に、また来て欲しいと思っていた。
  

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫