《MUMEI》 足をケガした子に簡易な松葉杖を渡すと、克哉君はその子を支えて保健室を後にしようとしていた。 「では、失礼しました」 「あ…うん…」 出ていかないで…。 もうちょっと…彼に居て欲しい…。 「ぁ〜…松葉杖のキミ、経過見るから明日も来てね」 「はーい」 あれ…僕は何を考えていたんだろう…。 窓から入ってくる暖かな日差しに浮かされていたのだろうか…。 それとも、白金の彼に見つめられ過ぎて勘違いしてるんだろうか? ケガをした子に”また来て”と言ったのだけど、内心…隣の彼の背中を眺めながら、あの金色に輝く彼に、また来て欲しいと思っていた。 前へ |次へ |
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