《MUMEI》
「シュウちゃんの…夢?」
「あぁ、俺の幼い頃からの夢だ。ほら、加奈子も見た事あるだろ?」
語る修二の目は、今まで見た事がないくらい輝いている。
「悪い奴らをやっつける正義の味方!俺、一度でいいからあんな風になってみたかったんだよ〜。」
それだけ…?
「ドクターは悪魔が見たい。
俺は正義の為に悪魔を殺したい。
まさに一石二鳥!!」
そんなくだらない夢の為に…?
「美雪‥は…?」
まさか、美雪までがそんな理由でこの悍ましい実験に参加しているのだろうか。
込み上げる怒りと恐怖を精一杯飲み込むと、加奈子はゆっくりと美雪の方を見た。
「私?私は‥そうねぇ…まぁ、何となくって感じ?面白そうだったから。」
腕を組みながら、美雪は口元だけ笑って見せる。
非道な事を軽々しく口にしながら…
何‥これ…?
気持ち‥悪い…
『加奈子っ!!!』
―…リョウ?
『加奈子!!』
ごめん…
私、もう…
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