《MUMEI》

赤高ベンチ。



「さて…準備はいいね?」



「…もちろんっす。」



先ほどとは打って変わり、
自信の表情に満ちた千秋がベンチを立つ。



「啓太ッ!!」



そして指示を待たず、


千秋が久保を呼ぶ。



「ふぅ…」



ディフェンスに戻る久保の足が止まる。



(早く…俺もあんな風に…)



「…お願いします。」



「…うん。助かった。」



(えっ…)



パチンッ!!



ハイタッチを交わす千秋と久保。



(こっからは…俺の番だ。)



コートに戻る千秋。


ディフェンスの位置はセンターラインと6メートルラインの中間といった所。



(…またか。)



千秋を見た榊がやれやれといった表情を浮かべる。



「おい。」



「?」



少し離れた位置から千秋を呼ぶ椎名。



「大丈夫なんだろ〜な?」



「…」



グッ!!



千秋はサインを送る。



「へぇ…」



(こっからでも抑えられんなら…携帯とDSブッ壊しはなしにしてやるか…)



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。

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