《MUMEI》
春、桜の下で。
 咲き誇る薄紅が
 青空に溶けている
 好きだった君の背が
 ぼんやりと溶けている
 あと何回、この季節。
 乗り越えたら、
 会えるだろう。
 貴方の住むあの空へ。
 いつになれば、
 たどり着くだろう。
 遊びのような、
 幾つかの恋も、
 微睡みのような、
 幾つかの夢も、
 時間を潰す為の、
 戯れにして。
 見上げれば空は蒼い。
 桜咲く木の下で。
 私はそっと寄りかかる。
 此処にいない貴方の、
 広い大きなその背中に。

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