《MUMEI》 手紙私は家族に手紙を書いた。今までのこと、そして今のこと…。信じては、もらえないかもしれない。 でも、伝えなきゃ…伝わらない。 せっかく、榎原のお陰で何不自由ない生活をおくれているのだから。 こんな日々が永遠に続くなんてわからないんだ。 いつ、私は死ぬかわからない。本当の意味で死ぬのはいつかわからない…だからこそこの普通の毎日が何より幸せに思えるのだ。 私は榎原に一枚の置き手紙をした。 「しばらく帰りません」と。 榎原の視点 珍しく学校に長川がいなかった。 2ヶ月に一回くらい学校に来ないこともあるけど…。 学校に長川の居場所はない。 でも、長川にとって大切な居場所なのだ。 自分が生きていたことを知ってる人たちなんだ。 そんな大事な場所に来なかったのはどうしてだろう―。 学校帰り寄り道もせずに家に向かった。 家に帰って机をみると、置き手紙があった。 「しばらく帰りません?何してんだよ、アイツ」 少し気になりもしたが報告もあったわけだし、2日くらいで帰ってくるかな。 出掛けてるのかな―。 いつものお笑いを見ていた。 別にお笑いの方が気になったし。 一人でいると部屋が大きい。でも、チャンネル争いにならないし楽だ。一人は楽だ。 ご飯は鍋にカレーがあった。カレーは冷たくなってた。 「暖めて食べて…なんて書かなくてもわかるのに」 カレーはいつもの長川の味だった。 「どこいってんだろ」 、カレーを食べ終わった時電話がきた。 「もしもし」 「翔矢?今日いつもの奴でカラオケしてんだけど、来ねぇ?」 「行く。どこの?」 「駅前の」 「わかった、今すぐいく」 前へ |次へ |
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